アダム・ドライバーが「POPCORN」というテレビ番組で歌を歌ったことがある。 (2019年11月8日頃)
歌ったのは「Leaving on a Jet Plane」。
日本では『悲しみのジェットプレーン』という題名で知られ、映画「アルマゲドン」の劇中でも歌われた。
また「カントリーロード」は、アダムが出演した映画「ローガン・ラッキー」の劇中に使われた。
今回彼が歌った『悲しみのジェットプレーン』は、映画アルマゲドンの劇中で歌われたので知っている人も多いだろう。 ジョン・デンバーが作曲だが、後にピーター・ポール&マリー(PPM)がカバーして全米で大ヒットし全世界に広まった。
なぜ今回アダムが歌うことになったかといえば、この「POP CORN」というテレビ番組は、最後に必ず出演者に音楽的な何かをサプライズという形で披露することになっているからだ。
「ピーター・トラヴァースが世界の大スターや一流の映画製作者に最新のプロジェクトや人生について語ります。 また、すべてのショーの最後には、音楽的なサプライズがありますので…」(番組紹介文より)
ピーター・トラヴァースとは、この番組のMCで、かつアメリカ人の映画評論家で、アダムもお勧めの「ローリング・ストーンズ」誌に映画評を書いている。 平易でわかりやすい文章が定評のようだ。 冗談を交えた軽快なトークと、ときおりアダムに刺すようなツッコミを入れる、小柄で気さくなおっちゃんである。
前置きが長くなったが、以下アダムの歌う様子がこちら。
『Leaving on a Jet Plane』 「悲しみのジェットプレーン」
♪All my bags are packed I'm ready to go
(荷物をまとめて準備はできた)
こりゃひどいね
♪I'm standin' here outside your door
(僕は君の家のドアの前に立っているよ)
それから、ちょっと待って、(なんだっけ…)
カメラ側のスタッフか誰かに「助けろ」的な眼差しを向ける、思い出して歌い始めて
♪I hate to wake you up to say goodbye
(サヨナラを言うために君を起こしたくないんだ)
♪So kiss me and smile for me
(だから僕にキスして僕のために微笑んで)
オーゴッド!
♪フンフンフン〜◎△$♪×¥●&%#?!
〜let me go~(ごまかした)
1つ1つ、歌詞をトラヴァースに向かって確認するように歌っている。歌っているというよりは語りかけるような、詩の朗読のようである。 「Leaving on a Jet Plane」自体、そのような歌いぶりではあるが、アダムはより慎重に、自信なさげに、ややたどたどしく歌詞を口ずさんでいた。
実はアダムはこの収録の約2年前に同じ番組で一度歌を披露している。歌ったのは「キラキラ星」。 その時も1つ1つ、歌詞をトラヴァースに向かって確認するように慎重に、自信なさげに、ややたどたどしく歌詞を口ずさんでいた。
このたどたどしい「キラキラ星」を目の前で聴いたトラヴァースは、映画『Marriage Story』でアダムが歌う「being alive」を聴いた時、映画の内容が吹っ飛ぶほど仰天したそうだ。
それは「ブロードウェイ史上最もタフな11時の歌のようだ」とトラヴァースはアダムの「being alive」を絶賛している。
ブロードウェイのミュージカル公演で午後11時頃に主人公が自分の気持ちを表現する最も大事な歌を披露することを『11時の歌』と演劇界では言うらしい。
アダムの歌は立派にブロードウェイのミュージカル俳優の主人公がメインで歌う歌に匹敵すると言っているのだ。
今回も歌ってくれとトラヴァースが振るのだが、アダムは若干拒みつつパニックになっている。
そんなアダムを見てトラヴァースが
「カイロ・レンがやられてるね」とジョークを交えながら、
「君はブロードウェイのミュージカルスターのように歌が上手いんだし、前回来た時は『キラキラ星』歌ったじゃないか。あんな感じでいいんだよ。」
と褒めつつ無茶ぶりをしている。
無茶ぶりでパニックになりながらもアダムがぽろっと
「演技は簡単なんだけどね…」
ともらすのがプロの役者らしい。
アダムはちゃんと準備すれば評論家が褒めるほど歌が上手い。 だけど無茶ぶりは苦手のようだ。
何事も中途半端ではなく、完璧にしたいという真面目さ、パフォーマンスに対する真摯な姿勢は、やはり仕事に対してストイックなアダムらしい人柄が伺える。
日本でも放送してくれてたらなぁ。