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アダムが演じたサミュエル・ベックウィズはどんな人??

サミュエル・ベックウィズはアメリカ合衆国の軍人で階級は大尉。アメリカ南北戦争時、北軍の司令官グラントの電信・暗号担当官であった。

映画「リンカーン」(スピルバーグ監督 2013年日本公開)では、軍服を着てひたすら打電作業に勤しむアダムが見られる。元アメリカ海兵隊員の経歴やAITAF(軍人とその家族のための芸術活動を主とする団体)設立に携わるアダムは、役者キャリアにおいて早くも「軍人」を演じている。

軍人ではあるが、ベックウィズは電信・暗号担当官であり、銃を持って戦うのではなく文章化された言葉を電気信号に変えて伝える裏方の役目を担っている。地味な役どころではあるが、伝える文章をリンカーン大統領直々に拝命しその場で打電する。そしてその言葉は映画の重要なシーンとなっている。

映画「リンカーン」を理解するにはまず「南北戦争」について簡単にでも理解しておくことが必要である。「南北戦争」は1861~65年のアメリカ合衆国の内戦。北部と南部に分かれ、それぞれ「北軍」「南軍」となって戦った。リンカーン大統領は北軍。サミュエル・ベックウィズも北軍の軍人である。

「開国してください」で有名なペリーが日本の浦賀にやって来て、その後ハリスが来て以来、ずっとアメリカとの外交が途絶えてしまうのだが、それはアメリカ本国で南北戦争をやっていたから日本に来てる場合ではなかった…と覚えておくと日本人としてはイメージしやすい。(実際にはペリーは「開国してください」とは言ってない。あくまでイメージ)

話をサミュエル・ベックウィズに戻すと、彼について詳しいことは映画では語られていないが、実際の彼は他の参謀から「グラントの影」と呼ばれていた。グラントはユリシーズ・グラントのことで、南北戦争時に北軍の司令官だった人。(後に大統領になる)

映画ではジャレッド・ハリスさんが演じている。

北軍の将軍の影とまで言われた人物だから、裏方とはいえかなり重宝されていた人だったのだろうと推察する。そして映画では描写がないのだが、実際のサミュエル・ベックウィズはリンカーン大統領暗殺後、ジョン・ウィルクス・ブース(リンカーンを暗殺した犯人)の居場所を最初に電信によって発信し、犯人ブースの逮捕につなげた。すごいお手柄だ。

また、リンカーン大統領存命中にはグラント将軍の電信士官としてリンカーンの訪問に立ち会ったという輝かしい経歴もある人だった。

直接リンカーンと会った経験のある人だから、アダムのシーンでリンカーンと対面しているのはリアリティを感じる。

映画「リンカーン」ではアダムが主演リンカーンとガッツリ対峙して会話しているシーンを歴史の重みと共にじっくり堪能してください。