どうも!ライムです。
スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明けの感想です!
ザックリ感想言うと前半も中半も後半もざ〜〜〜〜〜っとダイジェストみたいに次から次へと話が展開してまるでジェットコースターに乗ってるみたいでした。
そんな風に話がトントン拍子に進んでいって、今までのエピソード「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」の伏線も回収する部分もあるし(スノークはなんだったのか?とか、ラストボスは誰なのか?など) 主人公たちの冒険活劇ド迫力アクションシーンもあるので中半などは爽快感さえあります。
しかしあまりにも展開が早過ぎてめまぐるしかった。 そしてなんとかつじつまを合わせて(一部議論の余地があるが)解決エンドっっ!!ってなるので、それはもはやあの伝説の日本の漫画「ソードマスターヤマト」的な収束を迎えてしまったように思います。
*注釈:「ソードマスターヤマト」とは 月刊雑誌に掲載されていた漫画で、人気の低迷により打ち切りとなり、「最終回はわずか3ページしか用意してもらえず、苦心した作者は3ページの間に全ての伏線を回収せんと、超高速展開で物語を完結させてしまった。 」 (ピクシブ百科事典一部引用)
本作「スカイウォーカーの夜明け」は、前作「最後のジェダイ」において多くの伏線を残したままだったため、3部作の最後にあたる本作で完結させるために、まさに全ての伏線を回収せんと超高速展開を余儀なくされてしまったものと思われます。
解決エンドを見事に迎えたものの、伏線の回収には取りこぼしがあり、超高速展開の中にも無理があったような気がします。 しかしながら、前作で広げた風呂敷をなんとか本作でまとめた監督の手腕は見事であったと讃えられるべきであろうと思います。
しかし、どうしても作中に納得出来ない部分が個人的にはありました。 そのせいで私はこの作品をリピートして観ることができませんでした。 この記事作成にあたって5月中旬にやっと2回目を観ました。
納得いかない部分についていろいろ考えてみました。
カイロ・レンは何故死ななければならなかったのか?
カイロ・レンは悪い事をしたので死んで当然でしょ
私の周りにこう言う人がけっこういっぱいいました
これは、「悪い行いをすれば悪い結果をもたらす」という因果応報的な考えから来るものなのでしょう。
確かにカイロ・レンは、ロア・サン・テッカを殺したり、父親のハン・ソロを殺したり、惑星破壊したり、銀河支配のために罪なき人々を恐怖に陥れ、数々の死をもたらした極悪人なのでその報いとして死ななければならない。と言われればそうなのかも知れない。
「因果応報」は仏教の言葉ですが、「悪いことをしたら悪い報いがある」とか「その罪を償わないといけない」という考え方は全世界にありますよね。
旧約聖書のヨブ記によると、「良いことをした人にも悪いことが起こる」という考え方が出て来て必ずしも因果応報ではない、と書かれているそうです。こっちの考え方はわりとリアルですよね。
ちなみに、ジェダイを善、シスを悪とする「善悪」の考え方はゾロアスター教から来るものではないか、と考察されてる方もいました。
スターウォーズはいろんな宗教的考え方を取り入れてる面もあるようですね。
ですから、この作品において特定の宗教的な考え方を主軸において考え過ぎるのは得策でないかも知れませんね。
つまり、冒頭の「カイロ・レンはなぜ死ななければならないのか?」という回答に 「悪いことをしたから死んで当然」というのはあまり考えないようにしました。
さて、カイロ・レンはレイにライトセーバーで刺され、癒しのフォースで復活してます。
復活後は明らかにベン・ソロです。
このシーンの前にレイが砂漠の星で、大きな蛇の傷をフォースで治すシーンが伏線としてありました。
カイロ・レンのことをレイは「最後のジェダイ」で「毒ヘビ男」と呼んでいました。
蛇は聖書でアダムとイブに知恵の実を食べさせる、神に反逆するサタン(悪魔)の象徴であります。
わざわざ蛇を登場させたのは意味があると思います。 レイが癒しのフォースが使えるというただの伏線ならば治すのは蛇じゃなくても熊とかワニとか亀とかイカでも良かったと思います。
カイロ・レンは蛇のような男、キリスト教におけるサタン(悪魔)であるというイメージなのだと思います。
エピソード3「シスの復讐」において、オビ・ワン・ケノービが「パルパティーンは悪魔だ」と言うセリフがあります。 やはり、シス=悪魔なんだとはっきり定義されてるのだと思います。
カイロ・レンはシスなのか?という議論もあるかと思いますが、なんせ「超高速展開」を余儀なくされてますから、とにかく彼は「悪者です」という印象を観客に見せているのかなと思います。
ここまではなんとなくボヤッとしたカイロ・レンは悪い奴という、ざっくりイメージの話で、本題はここからにあります。スターウォーズの製作者はもっとハッキリとカイロ・レンは悪者です、ありえないです、と語っています。
悪者ですというよりは、悪魔、悪魔というよりは独裁者、皇帝(最高指導者)であると。 スターウォーズはずっと昔から独裁者と皇帝を否定してきました。
なぜならそれは民主主義の敵だからです。
エピソード3「シスの復讐」ではダース・ベイダーが妻のパドメに向かって、
ダース・ベイダー「僕は最高議長よりも強い。彼も倒せばいい。そして君(パドメ)と2人で銀河を支配する。生きよう!僕らの思いのままに!」
さらにベイダーは、
「この僕が平和と自由を正義と安全を…新しい『帝国』にもたらした!」
それに対して、オビ・ワンは
オビ・ワン「私は共和国に忠誠を誓った。民主主義(デモクラシー)にだ!」
と反論しています。
スターウォーズにおいて、帝国と民主主義は敵対する関係になっています。
エピソード5「帝国の逆襲」ではベイダーが息子ルークに向かって、
ダース・ベイダー「わしの元へ来い。我らの力が一つになれば…銀河に秩序をもたらすことが出来る。ルーク、お前なら皇帝をも倒せる。わしとお前と親子で力を合わせ、銀河系を支配しようではないか!」
本作では、カイロ・レンはレイちゃんをしつこく追い回しては
「俺たちはフォースの中の一対、2つで1つ。2人で皇帝を殺し、共に玉座へ座ろう」
昔から同じことを繰り返し言ってますね。
ベイダーもレンも「皇帝を殺して、共に皇帝になろうよね。銀河を支配しましょうね。独裁国家万歳!」
カイロ・レンがエピソード7「フォースの覚醒」で言ってた「祖父の始めたことを終わらせる」ってこのことでしょうね。
スターウォーズはこのことを否定してるんですよね。
ジェダイには、この「お誘い」を断らせてますよね。
カイロ・レン皇帝(最高指導者)は死ななければならない。
なぜって、アメリカは民主主義だからですよね。
では、なぜ暗黒面から帰還したベン・ソロは死ななくてはならなかったのでしょうか。
ここが1番解せませぬ!
いろいろ考えましたが、やはりスカイウォーカーの血の繋がりを断ちたかったから、ではないでしょうか。
ベン・ソロとレイの関係
ベン・ソロが死ぬ直前、レイとキスをする、とてもロマンチックなシーンがあります。
エイブラムス監督がカイロ・レン(ベン・ソロ)とレイは兄妹のような関係である、とインタビューではっきり答えています。
www.cinemablend.com (2019年12月25日 THE RIVER の記事和訳参照)
エイブラムス監督は「兄妹のような関係」の後に、「文字通り、セクシャルでロマンティックなものではありません。むしろ、2人はクレイジーかつスピリチュアルなかたちで結びついている。僕にはそれがロマンティックですけどね。」
これに対して記者は、この言葉は文脈上の言葉ではないので、「兄妹の関係」をそのまま捉えるのは適切ではないとし、これは次のEP8監督へ引き継ぐために設定したものと憶測しています。この発言時点ではハッキリといろいろ決まったわけではなかったようです。 幸運なことに、EP9でまたエイブラムスが監督をすることになったので、EP7から張っておいた伏線を自ら回収することが出来たわけです。
そしてEP9を見て2人の関係が何だったのか考えてみると、記者は「この最新作でキスを共有したのは明らかに兄妹のようなキスではなく、フォース・ダイアドであることが明らかになった」とここで述べています。
フォースダイアドは、直訳すると「フォースの一対」だと思います。
やはり、あのキスはアメリカ人の記者から見ても恋人同士のキスに見えたのでしょう。
しかし同時に記者は、そうではない場合も考察しています。
「二人がキスをしたからといって、うまくいったとは限らないし、実際にはお互いのために意味があったとも限らない。それともエンディングは彼女とカイロが一緒にいたことを証明するためのものだったのかもしれないが、今は彼女は一人で、彼の家族の残していったものを使って物事を考えようとしている。」
カイロ・レン(ベン・ソロ )は死んで、レイは1人になってしまった。 あとの一連のシーンを見て、恋愛ではないと解釈もできると、公平な意見を述べています。
まとめると、エイブラムス監督は「兄妹のような関係」と述べていたけれども、EP9のラストを意識して発言していたわけではなさそうです。
この記者も「混乱している」と書いてますが、これは非常に混乱しますね。
私がこの記事を読んだ解釈としては、カイロ・レン(ベン・ソロ)とレイの関係が何なのかは、製作者側から明確な答えは引き出せないということでした。
ベン・ソロとレイに恋愛感情は存在しないのか
ルークとレイアが父母のように見つめる中、「レイ・スカイウォーカー」と宣言し、血の繋がらない娘のように凛と立つレイのショットでこの長い物語は終わります。
私は、この3部作は「血で繋がったスカイウォーカーの系譜を消滅させた」サーガであったように思います。
血の繋がりにあまり重きを置かず、一人一人自立した人として家族を形成するのがアメリカ社会なのでしょう。
昨年、私の次男がアメリカのユタ州にて10日間ホームステイを経験して来ました。
ホームステイ先で仲良く遊んでくれた男の子は、なんとその家の養子だったのです。
そういう家が他にも何件かあり、アメリカではそんなに珍しいことでもないようなのです。
親子関係も、日本ほどベタベタしてないようでした。
レイがパルパティーンの名を捨て、ベン・ソロと結婚もしてないのに血の繋がりのないスカイウォーカーの名を名乗るのがしっくり来ないような気がしますが、アメリカでは血の繋がりより、個人の生き方を尊重する考え方もアリなのかもしれませんね。
旧6部作の伝統、象徴、歴史を全て背負ったカイロ・レン。
悪役に下がって、スカイウォーカーと関係のない新キャラクター、レイ、フィン、ポーに主役の座を譲った形になりました。 最後にベン・ソロ(スカイウォーカーの血を引く者)に戻り、レイにスカイウォーカー家の魂みたいなものをフォースで送り(フォースの一対)、全て送りきって絶命したのです。
旧作の魂は、心は、レイの体に宿ってますよ。 新しいスカイウォーカーが誕生しましたよ。
そんな映画だったのでしょう。
イギリスから独立したアメリカ。
ニューヨークの自由の女神。
私には、スカイウォーカーの夜明けのラストシーンが映画「タイタニック」を彷彿とさせるエンディングに見えました。
イギリスの貴族だった女性ローズが、平民階級のアメリカ人の男ジャック・ドーソンと船で出会い、愛し合うようになるも、船の沈没事故でドーソンは死んだがローズは船を降りた後も名字を「ドーソン」と名乗るというお話。
ジャックと船の中でとても愛し合ったのに、NYの自由の女神を見た後は、彼が死んだということもあるけれども、今までのことはなかったかのようにアメリカで別の人と結婚して孫が出来るまで長生きする人生を歩みます。
過去のことを引きずらない、自立した、自由な人生を送った1人の女性が描かれていました。
スターウォーズのレイはそれに似てるような気がします。
しかし、それにしても、レイとベン・ソロの間に深いフォースのつながりはあっても、性的な意味での男女の愛情が存在してないのです。
男性からの愛によって支えられる女性像ではなく、男性を頼りにしない真に独立した強い女性…それがレイです。
そうだとしても、何か解せません…
エピソード7「フォースの覚醒」で「カイロ・レンは王子様です」とエイブラムス監督が自ら言ってたのに…
エピソード8「最後のジェダイ」では、フォースボンドは恋人のデート、手を触れ合うシーンはセックスシーンであるとライアン・ジョンソン監督が言ってたのに…
エイブラムス監督が最初に設定した「兄妹関係」を完結させてしまったのでしょうか…
一方で、エイブラムス監督は、あちこちで「物語の解釈は観客におまかせする」というような主旨のことを繰り返し述べています。 ファンに対しての言い訳のようにも聞こえますが、アダム・ドライバーも同じようなことを述べています。
アダム・ドライバーインタビューから見えるスターウォーズ
アダム・ドライバーはインタビューでカイロ・レンの演技の意味について、
観客が意味付けしたほうがエキサイティングだといつも思うので、それが何であるかを言ってごまかすようなことはしたくないね。
そして、ある意味では、僕の意見が何なのかはあまり大したことじゃないよ。
観客がそれぞれ意味を解釈したらいい。幸いなことに、台本は様々に解釈出来るように作ってあるからね。
アダムはさらに、脚本を担当したエイブラムスとクリス・テリオ両者の仕事について、
キャラクター同士の会話を通して観客にたくさん情報を流すのではなく、俳優は、必要な情報だけを提供して、あとはファンが決めることができると考えている。
このことは、オリジナルのスター・ウォーズ3部作の強みだと感じている。 こうした考え方は、エピソード9「スカイウォーカーの夜明け」の作品に受け継がれ生き続けていると考えている。
クリスとJJはセリフにはハッキリと表れないものを書くんだ。
僕はそれが好きなんだ。
キャラクターは自分の気持ちを正確に語るのではなく
オリジナルの映画の伝統を受け継いでいるのだと思うよ。
とても曖昧で文字通りハッキリしない瞬間がたくさんあるけれども、観客に意味を与えるようなエモーショナルな真実があると思うよ。
CINEMA BLENDインタビューより。 www.cinemablend.com
以下はCINEMA BLENDの記事より。
ひとつ確かに言えるのは、「曖昧さ」は、人気映画が公開日からだいぶ時間が経っても意味を持ち続けるのに非常に役立つということだ。「スカイウォーカーの夜明け」 には、何十年にもわたってファンの間で議論され続ける側面がある。
DEC. 19. 2019/CINEMA BLEND
受け止め方はそれぞれ自由だ。
観客の心の中に湧いてくる感情の中に真実があるのだ。
▼好評の「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」の感想も合わせてお楽しみください
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