2012年にアメリカで公開された映画にアダム・ドライバーがチョイ役で出演している。
28歳くらいの若いアダムが芸術家気取りのチャラ男を演じているのも見ものだが、DVD特典で紹介されている音楽リストも見逃せない。
21世紀にモノクロで作られたこの映画は、独自の作曲家を付けずに既に発表された有名な音楽を多数使用している。 どんな音楽を使用したのか、このリストに従って一つ一つ紹介してみたい。
その前に「フランシス・ハ」について軽く紹介する。
映画についてご存知の方はスキップ!
●制作&キャスト
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック&グレタ・ガーウィグ
主演:グレタ・ガーウィグ
共演:ミッキー・サムナー
マイケル・ゼゲン
アダム・ドライバー
●主人公フランシスを取り巻く友人とその関係
●フランシス・ハの音楽リスト
タイトルをできる限り日本語に訳したもの。
リストをクリックするとその曲の解説へジャンプ!
- カミーユのテーマ
- シタールは星空の調べ/T・レックス
- 映画「まぼろしの市街戦」より La Pavane Polka
- 映画「大人は判ってくれない」よりL’ecole buissoniere
- ブルー・スウェイ/ポール・マッカートニー
- 映画「家庭」より、デュアメルの曲
- モダン・ラヴ /デヴィッド・ボウイ
- Million Dollar Doll/ディーン・ウェアハム
- Every 1's a Winner/ホット・チョコレート
- Miss Butter's Lament /ハリー・ニルソン
- Negresco's Waltz
- 映画「まぼろしの市街戦」より Le Repos
- まとめ
カミーユのテーマ
使用されたシーン: オープニング、フランシスとソフィーが公園で遊んでいるシーン。
解説: バンジョー(ソフィーが弾いてる丸いギター)の軽快な旋律が若い女の子の楽しそうな雰囲気を存分に表現している。 耳に心地良い。 フランソワ・トリュフォー映画の女主人公「カミーユ」のテーマであるらしい。 気分を明るくしてくれるので、毎日でも聞いていたい音楽。
監督:フランソワ・トリュフォー
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
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シタールは星空の調べ/T・レックス
使用されたシーン: フランシスが彼氏と別れた後、友人のパーティ会場で流れていた音楽。 ソフィーにキスして挨拶した後、レヴ(アダム・ドライバー)と初対面。
解説: 日本でも有名なTレックスのアルバム『銀河系よりの使者」より。
原題:FUTURISTIC DRAGON(1976年)「Chrome Sitar」
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映画「まぼろしの市街戦」より La Pavane Polka
使用されたシーン: 財務省から税金の還付のお知らせを受け取って喜んでいるところからレヴを電話で呼び出すまでのシーンと、レヴやベンジーの友達の前で料理を振る舞うときにも使われている。
引用元の映画「まぼろしの市街戦」で使われてるシーン: たくさんの男女が踊っているときに流れている音楽。この映画めっちゃ面白そう。アマプラでレンタル出来る。
監督:フィリップ・ド・ブロカ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
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映画「大人は判ってくれない」よりL’ecole buissoniere
使用されたシーン:レヴとの食事で料金を払おうとしたらカードが使えず、ATMを探しに街を走り回るシーン。 この曲、すごく好き。
監督:フランソワ・トリュフォー
音楽:ジャン・コンスタンティン
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ブルー・スウェイ/ポール・マッカートニー
ポール・マッカートニーの曲!
お蔵入りになり未発表だったが2011年にやっとリリースされた隠れた名曲。
「フランシス・ハ」は翌年に公開されている。
使用されたシーン: レヴがフランシスの肩に触れると「エ”っ!」て変な声でフランシスが拒絶したシーンから、ベンジーたちがやってきてフランシスが彼とテーブルで談笑しているシーンにつながるところ。
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映画「家庭」より、デュアメルの曲
使用されたシーン: レヴ、ベンジー、フランシスが3人並んで友達を見送る場面
監督:フランソワ・トリュフォー
音楽:アントワーヌ・デュアメル
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モダン・ラヴ /デヴィッド・ボウイ
デヴィッド・ボウイの曲!
使用されたシーン:フランシスが横断歩道、街路を疾走している時に流れる。 自宅に着いてドアを閉めた瞬間、音が止まるのがコメディらしくて小気味良い。
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Million Dollar Doll/ディーン・ウェアハム
使用されたシーン: フランシスがダンスを披露した後で、親友のソフィーと彼氏と共に酒を飲んでいて言い争いになった時のBGMだと思われるがハッキリよくわからない。 全編通して何度も確認したが、曲が使われているとしたらここしかないと考えられる。
●他のシーンで、ディーン・ウェアハムの別の曲が使われている
「Ann Buchanan Theme」という曲が使われている。
主人公フランシスがレヴ(アダム・ドライバー)と初めての対面後、2人きりで顔を思いきり近づけあって「動物の本とか映画には興味ないの」とフランシスがレヴに話しかけてるシーン。
●作曲者が出演してる!
作曲者のディーンと彼の妻でバンドのパートナーのブリッタは、フランシスが「パリに行きたい」と言っている食事会のテーブルの席に夫婦で出演している。
●ディーン・ウェアハムについて:
ニュージーランド出身、今はアメリカを中心に活動しているミュージシャン。
もともと「ギャラクシー500」というオルタナティブ・ロックバンドをやっていたが、解散後に妻のブリッタと「ディーンとブリッタ」というユニットバンドで音楽活動を行っている。
妻と共にノア・バームバック監督の映画「イカとクジラ」で音楽プロデュースに参加。監督とはそれ以来の付き合いのようである。
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Every 1's a Winner/ホット・チョコレート
使用されたシーン:フランス旅行の時。
解説:日本ではほとんど知られておらずWikiの日本語版も無い。 イギリスのバンド。初期にジョン・レノンの曲のレゲエヴァージョンとか作っていたみたい。 映画に採用された曲は1978年イギリスとアメリカでリリースされ、アメリカでヒットした。
Miss Butter's Lament /ハリー・ニルソン
使用されたシーン:フランシスが卒業した大学でダンサーとしての仕事を交渉したり、給仕のバイトしてるシーン。
解説:ハリー・ニルソンはアメリカのシンガソングライター。 甘く哀愁のこもった歌声で、「七色の声を持つヴォーカリスト」と評された。ジョン・レノンに高く評価された。
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Negresco's Waltz
使用されたシーン: フランシスがカンパニーで事務職に就いて溌剌と働いているシーン。
監督:ジュールズ・ダッシン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
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映画「まぼろしの市街戦」より Le Repos
使用されたシーン:
1.フランシスが故郷に帰った時。
2.フランシスが「私が恋愛について求めるものは…」と熱く語るシーン。
3.ラストの方。
仕事の休憩時間や就労後にダンスの振り付けを考えたりダンサーに教えたりしている様を生き生きと描いているシーンから、ソフィーとの友情の確認、独り立ちを爽やかに描いているラストシーンまで。
監督:フィリップ・ド・ブロカ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
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まとめ
●ジョルジュ・ドルリュー(フランスの大御所的大音楽家)の音楽がたくさん使用されている。
●フランソワ・トリュフォー監督作品や、映画「まぼろしの市街戦」の音楽も多用されている。
●以上のようなフランスの「ヌーベルヴァーグ」映画からの引用が多いことがうかがえる。
●ヌーベルヴァーグとは1950年代末から始まった映画手法で、「助監督等の下積み経験なしにデビューした若い監督たちによる、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法的な共通性を持った一連の作品」
●つまり、ハンドカメラ片手に街へ出て、駆け出しの若い役者を使ってその場で録音、その場で演出考えちゃう手軽な勢い系の低予算映画。
●ハリウッド映画のようなガッツリ系のようにはいかないが、若い監督や若い役者が主力となって活躍できるため、思わぬ才能の開花、発掘が期待できる。
●映画に使われた音楽を検証して、この作品の持つメッセージや味わいがつかめてきました。